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絶やすな!被災地の雇用と技術 [etc.]

9/25放送のNHK「サキどり」で、
南相馬市のある中小企業が、
オマーンから浄水器の大量受注をしたということ、
知りました。

放送内容の詳細は、番組のサイトでも
ご覧いただけますので、
関心のある方はそちらをご覧いただきたいのですが、
新興国と中小企業の橋渡し的な役割を行なう
NGOの仲介があったこともありますが、
何故、被災地の中小企業が、そのような大量受注に至ったのか。


震災前、その中小企業の方は浄水器を持って
オマーンを訪れていました。
オマーン側は中国、韓国製の浄水器も試したところ
移動のできない設置式で、すぐに壊れてしまったそうですが、
日本の方が持ってきた浄水器は移動式であったことや、
現地の状況に合わせて浄水器を改良してくれたり、
現地の要望に、きめ細やかに対応をしてくれたこと、
そして3.11の大震災で日本が大変な状況であることを知り、
オマーンの若手のリーダーの方は、
すぐに大量発注してくれたのだそうです。

30年に渡り、海外で農業支援を行なっているという
NGOの方のお話によると、 
中東の水事情は、良くなるどころか悪くなっているそうで、
以前に比べ、雨は多く降るようになったそうですが、
塩分が濃かったり、硫化物が含まれたりするように
なったのだそうです。

この大量受注のおかげで、
一時、南相馬を離れていた従業員の方も会社へ戻ってきました。
ただ、この会社と取引のある親会社、下請け会社は70社。
そのうち、親会社の15社は震災、原発事故の影響で廃業になったり、
経営不振に陥っている会社もあるとのこと。
そこで、この会社の社長さんは、高い技術を持つ
ある下請け会社の社長さんの腕を買って、
アルバイトとして雇うことにしました。
雇われた社長さんは自分の工場が原発から半径20km圏内にあり、
再開できないとのこと。他で働きたくても64歳という年齢では
どこも雇ってくれないので、戻れるまでは働きたいとのことでした。

被災地の中小企業自ら、雇用を生み出そうと努力し、
地域に少しでもお金を落としたいとしているその姿を見て、
国は被災地の中小企業のために、雇用を生み出すために
具体的に何をしてくれているんだろうと思いました。

大量の発注をしたオマーン側のリーダーの方は、
原発事故後、日本の製品は危険だと聞かされていたので、
本当に危険なのかを確かめたいと、来日されました。
南相馬のその会社で、実際に線量計を使って
放射線量を測り、想像していたよりも低いことを知り、
安心されたようでした。

そして、浄水器をつくるその会社の社長さんが
一番感動したというのは、
オマーンの方が、「浄水器が完成したら、
最初に被災地で使ってほしい。」と
自分の国よりも、被災地を優先してくれたことだそうです。

海外でインフラ投資が必要なところは多いといいます。
高い技術、能力を必要としている所があり、
その技術や生産能力を海外で活かせる企業が日本にはある。
今、このような時だからこそ、
海外へ、アピールするチャンスでもあるのではないでしょうか。
それに、日本(日本人)ほど、時間や約束をきちんと守り、
きちんとしたモノを提供する国は、ないそうですよ。
これは誇りでもあり、強みです。

中小企業には、せっかく高い技術があっても、
大企業と違い、人不足であったり、海外へのPR不足もあって
その技術力が海外へ広く知られることはなかなかありません。
そこを、今回仲介したNGOのように、
海外と中小企業をつなぐ橋渡し的な機能が構築されること。
それが求められています。

そして、大量生産が得意な大企業がやらない、できない部分を
中小企業は小回りがきき、きめ細かく対応できるので、
今後、中小企業が生き残っていくためには、
大企業が手を付けない部分に入っていく、
ニッチ(隙間)市場で、シェアを広げていくことだろうと
ゲストの方が仰っていました。

きっと、大震災や原発事故によって
活かされずに眠ったままになってしまっている
機械ではない人間の、人間にしかない、
長年培ってきた様々な技術や能力が、
たくさんあるのだろうと思います。

機械はしばらく眠っていても、
直せばまた元のように使えるようになるかもしれませんが、
人のもつ技術は、使わずにずっと眠らせてしまったら、
また、それを次の世代に伝承していかなければ絶えてしまいます。

震災から半年以上が過ぎ、
今、被災地に何が一番求められているか、それは雇用です。
働けるのに、働きたくても働ける場所が無い。

ものづくりの文化、その高い技術を守るためにも
雇用を本当に何とかしてほしいと願わずにいられません。


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にこちゃん

いい話ですね~!
やっぱり「困った時はお互い様」という付き合いが
ちゃんとできる関係ってスバラシイです。

そういえばウチの旦那さま、もと糸屋でして、
営業で韓国や中国何度も仕事の都合で行ってたんですが、
とくに中国は、中国の旧正月を機に
休み明けに賃金のいい会社に平気で行っちゃうとか。
それもイキナリですよ。日本じゃ信じられない。
なんつうか現実的なんですよね~
日本人の「仕事意識」ってもっと次元が高いですし、
それと、人との繋がりとか、安易な考えじゃないですよね。

雇用、なかなか一概に片付かないと思いますが、
何かちょっとしたことで動き出すヒントもあるのでしょうね。

by にこちゃん (2011-10-04 16:29) 

sou

> 師匠♪

たまたま見てたら、
すごくあったかいお話が聞けて嬉しかったです。
この会社、従業員の方は15人なんですって。
それでも、いいもんつくって、
それを知ってもらえさえすれば、
世界共通で、いいもんはやっぱりいいってこと
なんでしょうね。
ニッポンの中小企業、町工場、職人さん、
応援したいです!

某たこ焼きチェーン、本社を石巻に移転するって
前にニュースで聞きました。
企業がここまでするのは、どこでもできることじゃなく、
簡単な事でもないですけど、
国には国がすべきこと、民間には民間ができる支援が
あるような気はします。

中国のミスド、営業中に解体され始めちゃったみたい
ですね。んーーーっ、なんだかもぉー・・・です。
by sou (2011-10-04 18:13) 

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