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ヒューマンジャーナリスト [inori]

 

先日放送された
「NNNドキュメント'12 戦場に咲いた小さな花
~山本美香という生き方~」を見ました。

山本さん・・・
というよりも、美香さんって呼ばせて頂きたいくらい
何故だか、遠い人に感じなかった。

露草が好きな美香さん。
きっと、頑固なところもあるんだろうなと
感じられた美香さん。
曲がったことが嫌いな美香さん。

なんか、とても親しみを感じます。
そして、一度でいいからお会いしてみたかった。

 

美香さんが亡くなられてから
お母様が知ったという、美香さんが中学生の時に
お友達宛てに書かれたというお手紙の中で、
既に、海外特派員になりたいと綴っていました。

それは新聞記者であったお父様の背中を
見てきたからなのでしょう。
お父様への憧れ、尊敬。

そして、初めての取材が雲仙・普賢岳、火砕流。
避難された方々の取材などもされました。
しかしその後、デスクワークをすることになり、
勤めていた会社を退社。
その後、ジャパンプレスの佐藤和孝さんと出会います。

アフガニスタンでの取材では、
アフガニスタンの女性への取材は、
親戚以外の男性との接触が禁じられているため、
男性のジャーナリストにはできず、
女性である美香さんにしかできない仕事でした。

女性の教育も禁じられていて、
タリバンに見つかれば命の危険があるため、
奥まった場所でひっそりと、
女性たちが英語の勉強をしているところなどを
カメラは映していました。

イラク戦争。
バクダッドでの取材では、
取材仲間であるロイター通信の部屋が
米軍によって砲撃(誤爆)を受け、
美香さんは初めて、仲間の命が失われるのを
目の当たりにし、泣き叫びます。

佐藤さんは、いつも、どんな時も美香さんに
「大丈夫、大丈夫」と声を掛けていました。

そして美香さんは、泣きながらも
「ちくしょう!」と叫んでいました。

 

時々、顔を見せて(家族を)安心させないと、
そう言って、ご実家に戻った美香さん。
明るく元気な声で
「ただいまー。疲れた~。お腹空いたよ~。」と
笑う姿に、私は涙を堪えることが出来ませんでした。

 

いつしか「戦場ジャーナリスト」と呼ばれるように
なったという美香さん。

でも美香さんは、

「服も好きだし、お化粧も好きだし、
自分では普通だと思っている。」と話し、
40歳の頃には、子どもを持つかどうかと
私たち女性が迷い、考えることと同じ悩みを
持ちます。

また、戦地で取材をするジャーナリストは、
「誰も自分が死なないとは思っていないけど、
自分だけは弾に当たらないとか、
自分だけは大丈夫だと思っている。
そうでも思わないと、こんなところにいられない。」

とも話していて、
私は、特別な人だから、特別な人だけが、
強い人だけが、
このような危険な場所で取材をする仕事をしている
訳ではないのではないかと思いました。

美香さんも、きっと怖かったと思う。
私たちが感じるのと同じように、怖かったと思う。
でも、戦場で暮らす人々がいることを伝えたいと、
私たちがまだ知らない世界があることを、
伝えたかったのだと思います。

女性への差別。
虐待されてもそのほとんどが自殺や事故として
処理され、誰にも気付かれることのないまま
亡くなっていく多くの女性たちや子ども達が
いる世界があることも、
美香さんは伝えていました。

 

そして、日本。
福島第一原発から10キロ、
警戒区域内の浪江町にご自宅がある女性が
ご自宅に一時的に戻るところに
防護服を着て同行取材。

美香さんは友人にこう話していたそうです。

「戦場はいつも海外にあると思ってた。
でも大震災を取材してわかったの。
この日本にも戦場があるということが。」

同行していた女性にも、
引き続き取材をさせてほしいということを
話されていたようです。

もっと、もっと伝えたかったことがあったはず。
今も、悔しいって思ってるかもしれませんね。

 

お父様は、戦場ジャーナリストと呼ばれる美香さん
のことを、

「人間が好きで、人間の命を大事にしたい、
声なき人たちの声を代弁したいということから、
ヒューマンジャーナリストであると。
彼女は戦争ジャーナリスト、
戦場ジャーナリストではありません。」

こうきっぱり仰いました。

私もそう思います。


今、美香さんがいないことが
本当に残念でなりません。

山本美香さんのこと、忘れません。

 

 

 


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コメント 4

kokoro3

悔しい、本当に一人の大切な命が一瞬にして奪われた事。
あってはならないけど、誰かが行って生の取材をしないと私達には伝わらない。
美香さんの事を私もわすれません。
by kokoro3 (2012-10-18 12:11) 

sou

> kokoro3さん♪

戦地など危険な場所での取材は
どうしても男性のジャーナリストが
行なうようなイメージがありましたが、
女性だから伝えられること、
女性ならではの視点で
伝えられることがあるということを
美香さんが教えてくれました。
by sou (2012-10-18 12:25) 

nicolas

この特集、観られなかったです。残念・・・。
つゆ草、飾らなくて優しそうで、強そうで、
美香さんにぴったりな花です。

何かに強く動かされて生きてる姿、イメージ的に、
souさんに重なる気もします。
本当に惜しい方を失くしました・・。
by nicolas (2012-10-18 19:15) 

sou

> 師匠♪

再放送がありますよ(^^)
後で、そのお知らせの記事を上げておきます。

美香さんと私ですか?
師匠、それは恐れ多いです。

ただ、もし自分に子どもが居なくて
守るべきものが無かったら、
自分にできる、できないは別として
美香さんの遺志を継ぎたいなと思ってしまうくらい、美香さんを尊敬しますし、
また、誰かがその役目を務めなければならないのではないかなんて、考えちゃったりしました。
簡単にそんなこと言ってはいけないんですけど。
by sou (2012-10-18 19:59) 

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