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「プロフェッショナル 仕事の流儀 ただ、生まれる命のために」 [etc.]

再放送を見ました。

胎児診断の世界的権威も、
世界一の技術を持つと認める産科医、
川鰭市郎(かわばた いちろう)先生。
胎児治療のパイオニア。

川鰭先生の元に運ばれてくる妊婦さんの9割は
他の病院では治療が難しいと言われた方たち。

今までも痛感してきましたが、
人体の不思議というか、
全ての赤ちゃんがお母さんのお腹の中で
無事に成長して産まれてきてくれたら
いいのですが、
いろんなことが起きるものなんですね。

でも、川鰭先生はリスクを知り不安な妊婦さんに対し、
気休めのような言葉ではなく、
ご自身の30年に渡る経験に基づいた上で
希望を感じられるような、
前向きに捉えられるような言葉を
妊婦さんに話していらっしゃるので、
それは、不安で仕方ない妊婦さんにとって
どんなに心強いかと思いました。

川鰭先生が最も大事にしていること、

「何らかの問題点があるのはあるんですよ。
その問題点は問題点として、
きちんとお話はするけれども
何の希望もない話にだけはしてはいけないと思ってる。
お腹の中の赤ちゃんが問題があって
お母さんは自分を責めますよね。
あまりにも重いものをいきなり全部背負わされると、
全く希望がなくなるでしょ。
だからその分僕らは背負わなきゃいけないんだけども
でもそれはちゃんと診断できる
技術を持った者の宿命だから
あえて背負いながら、うまくいったときの
お話を中心に考えて言っていく」

問題点のある現実をきちんと見つめながら
希望を見出だしていくことなんですね。

そして、先生はわりとはっきりとした口調で
お話されるのですが、
不安で仕方ない人にとって、
医師が曖昧な答えだったりすると
余計に不安になるのかもしれません。


ただ、どんなに経験を重ねてきても
難しい症例を乗り越えてきても
どうしても救えなかった命もあって
以前、赤ちゃんが18トリソミーとの診断を
受けたお母さんが、
川鰭先生からの

「 18トリソミーで生まれてくる子は、
みんないい顔してかわいい顔してるから
楽しみに待っててね」

という言葉に救われ、
お腹の中の赤ちゃんに絵本を読んであげたり、
とにかく親として、
今、自分ができる限りのことをしてあげよう、
愛情注いでいこうという気持ちのほうが強くなったそう
ですが、
赤ちゃんは分娩の途中で亡くなってしまいました。

その日の夕方、お母さんは先生から

「どう?いい顔してるでしょ?
悲しんでるパパとママのところには
(赤ちゃんは)帰ってこないよ」と言われ、

そう思っていいんだなと前向きに
お母さんだけでなく、ご主人もご両親も思えた
ということがあったそうです。
それから一年後、二人めのお子さんを
先生の病院で出産されました。




そして、30年、命と向き合ってきた先生が
仰った言葉に、感動しました。

「意味のない命というものはないんですよ。
その赤ちゃんが生まれてきたこと、
亡くなってたとはいえ、
ご夫婦でそういうことについて
本当に向かい合って語り合ったとするならば、
何気なく生まれてきた赤ちゃんよりも
その赤ちゃんが大きなものをご夫婦に
残してるかもしれないでしょ。
だから80年生きた命も、10分で亡くなった命も
生まれてきたときには
心臓が動いていなかった赤ちゃんも含めて
生まれてこない方がよかったというものは
一つもないんだと思う。」


先生が医師になって8年の頃、
血液型不適合妊娠という、
赤ちゃんとお母さんの血液型が異なり
赤ちゃんが重い貧血状態のため、
お母さんのお腹に針を指し、
赤ちゃんに輸血をするという手術を
しなければなりませんでした。
当時、実施されたその最新の治療は
たったの1例。
先生は、やれる自信はあったものの経験はないため、
どんなに準備をしてもリスクは0にはなりません。
患者さんやご家族とも何度も話し合い、
先生は全責任を負い、手術をします。
輸血は成功、赤ちゃんの命は助かりました。

まもなくして国際的な学会に出席したときに、
胎児診断の世界的権威、
イラン・ティモール医師が語った
医師の心構えに、ハッとされたそう。

「おじけづいて 踏み出せない人ではなく
でも、リスクを顧みず 闇雲に動き回る人でもなく
勇気と冷静さを併せ持つ探検者であれ」


川鰭先生は、

「進むことを恐れずに、
かといって周りをしっかりと観察することを怠らず
ワクワクしながら
Who wonder what happen
その精神で前へ行けと。
自分の思ってる気持ちを
まさしく言い当ててもらった」と話します。



そして、私が初めて知ったのが
原因不明の羊水減少という症状。
ある妊婦さんがその症状で先生の元に
治療を受けにきて
人工的な羊水を注入するのですが、
しばらくするとまた減ってしまいます。
日を追うごとに、減り方が早くなり
何度も人工の羊水を注入しても
減ってしまうというものでした。

なるべくなら、37週までお母さんのお腹の中にいるのが
理想でしたが、チームスタッフで話し合い
少し早い35週で帝王切開する決断をしました。

手術開始から4分後、
元気な産声を上げる赤ちゃんが無事に生まれました。
泣けるということは肺が機能しているということ。
とはいえ早産になるので、
赤ちゃんはNICUに運ばれました。



川鰭先生にとって、プロフェッショナルとは

「ぶれないこと。
やらなければいけないことは、
万難を排してやる。
やらなくてもいいことは、
どんなことがあってもやらない。
目の前で起こった出来事に対して
最善の策をいかに素早く自分達が見つけ出せるか、
それができることがプロフェッショナル」



きっと、それは医療の分野に限ったことでは
ないんじゃないかなと感じました。





◆ プロフェッショナル 仕事の流儀






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コメント 2

nicolas

寝ようと思ったら、目についたのでチラっと観ました。
羊水の中で微笑む赤ちゃんの顔が印象深いです。
生まれる前からちゃんと表情があるんだなーと感動しました。
羊水の減る彼女、ちゃんと生まれたんですね、ヨカッタ!
by nicolas (2014-07-25 14:07) 

sou

> にこさま♡

そうなんです!無事に生まれて、
お母さん、泣いていらしたんです。
何度も何度もお腹に針を挿して羊水を入れて
お母さんも大変だったと思うし、
とっても不安だったと思います。
赤ちゃんが元気に泣いたとき、
本当によかったーと思いました。

意味のない命なんて一つもない、
命と毎日、30年も向き合ってきた方が
確信してると言うのですから
説得力があります。

たとえ、生まれてくるときに
亡くなってしまった命でも
お母さんと過ごした時間は
短くてもかけがえのない時間のはず。

私にも生まれる前に亡くなってしまった弟がいて、
両親としばらくはお墓参りに行ってました。
弟に会ったことはありませんが、
時々思い出しますし、
これからも胸の中で生き続けていくと思います。


by sou (2014-07-25 21:02) 

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